Prologue

何故歩くの、自分に問いかける。
考えて初めて知る、理由なんて驚くぐらいに単純だった。

例えばそれは、また明日と笑う君の声。

見上げた空はもっと蒼いのか、曇り灰色の空、それとも雨降りか。
朝は何を食べよう。昼は、夜は、デザートはどうしよう。
仕事がまだ残っているんだ、そろそろ仕上げないと後が怖い。
ああ、それからどこで何をしようかな。
そんな下らない心配事や、楽しみ。

行き場の無い怒りに支配されて、憤り。
流れるままに任せた涙、それすらも叶わない虚無感。
ただここに在るだけ、何を得ようともせず得られずに。
こうやって何か抱えたままで、いつか自分を、そして君を失うんだろうか。
時にはそんな、深い闇。

そして、それは君の手の温かさ。
君が在る安堵感、それが続くと願う執着心。

取り巻くそんな何かが、眠り続ける幸福すら霞ませてしまうから。
きっと目を開けて、地に足をつき、また今日を歩いていけるんだ。


一緒に。


「RED CROSS-the second story-」