君と居た真実 君と居る現実

変わらない、と。

そんな事を思う。

寝転んだ草原の中の、風も、空も、光も。

「アンバー、此処に居ったのか」

此の、声も。

「久しぶりだな。エメラルド」

笑い掛け、起き上がる。

「何を言う。昨日も会っただろう」

「まぁ、そうだけど」

久しぶりだ、と。

言ってしまいたくなる様な、何日も、何年も会っていなかったような感覚。

変わらない此の場所に。

変わってしまった自分。

此処に居られると言う事が、未だ、慣れない。

「昨日も、一昨日も、此処に居ったな」

「其の前も、な」

変わる前も、変わってしまった今も。

此の場所は、そのままで。

「ジェイドには、会ったのか?」

「・・・・・・いや」

我知らず、小さくなる声。

戻って来てから、未だ一度も会っていない。

半身、とでも言うべき存在。

決して、会いたくない訳では無く。

「怖い、のかもしれない」

曖昧に笑えば、エメラルドは眉を顰める。

「変わっちまう気が、するんだよ」

「何が、変わると言うのだ?」

「変わらなかった、モノが」

「変わらなかったもの、とは?」

「此の場所とか、お前とか、皆とか。俺が居る世界」

変わらない風、変わらない空、変わらない光、変わらない関係、変わらない笑顔。

此の、狭い世界。

「アンバー」

エメラルドが、隣に腰を降ろす。

「恐れるな」

短い、言葉。

「我は、此処に居る」

「あぁ、そうだな」



例え此の世界が変わってしまったとしても。

変わらないものだって、在るんだ。





其れはきっと、偶然の様な必然。

此の広い城の、一本の廊下で。

半身とでも言うべき存在の、彼女に。



言いたい事は、沢山在った筈だけれど。

何よりも、伝えたかった言葉を。

「ただいま」

End


蒼さんが2周年&2万ヒットお祝いに小説を書いて下さいました!
「RC2」の、アンバーが戻ってきた辺りをイメージして下さって…v
本編はまだそこまで書けていない状態ですが(苦笑)、こうやってイメージして下さったものを頂くと凄く新鮮です…v
ジェイドにどう会おうか、それはアンバーが凄く悩む所だと思うのです。
こんな感じの流れもいいなあと、そしてやっぱり相棒コンビいいなあと(親馬鹿)嬉しくなってしまいます。
これから綴る本編、頑張ります!ありがとうございました!

2006.06.15